Some Night & More Night
nullporz.exblog.jp
What? > How?
by やっ
プロフィールを見る
画像一覧
Top
戯言
2007年 09月 19日 | |
そのバンドを初めて聞いたのはラジオから、だった。聞いていると気持ちが良い。好きになった。レコードを買って何度も何度も繰り返しそのバンドだけを聞いた。何度も聞いていると町中でそのバンドの曲のフレーズが流れただけですぐに分かるようになっていた。あっ、あの曲は3枚目のアルバムのB面の1曲目、最後のサビの部分だ、なんて感じで。好きになるとそのバンドのルーツ、何に影響を受けて現在に至るようになったのか、という事も気になってきた。バンドメンバー一人一人のルーツも気になってきたので調べたり、メンバーが好きだと言っているアーティストを聞くようになったりした。そしてそのバンドから影響をうけたという別のバンドを聞いたり…と、多くのアーティストを聞くようになっていった。
ウルトライントロ=ドン!じゃないけれど、お気に入りのアーティストのちょっとしたフレーズを聞けば分かるようになった、と同時に多くのバンドを聞くことによってそのバンド独自の音というものが分かるようになってきた。バンドの音っていうのはプロデューサーが変われば多少変わることもあるけれど、その根本の音って変わらないってことも分かってきた。お気に入りのバンドのお気に入りのギタリストの音の個性も分かってきたので、他のバンドのアルバムに参加してもそのギタリストが弾いているパートが分かるようになった。
何度も何度も聞くうちに、バンドの音、ギタリストの音、ドラマーの音、もちろんボーカリストの声、それぞれの個性というものが分かってきた。
最初はまったく何が良いのか分からないというアーティストや曲も多くの曲を聴くことでそのアーティストや曲の支持される部分というのも分かってきた。おまえも○○が分かるようになったのか、ってやつもあった。もっともこれについては好みっていう個人的な問題があるので全部とは言えないけれど。
でも自分でもギターを弾いてバンドを組むようになるともっとアーティストの個性というのが分かるようになってきたのは面白いことだった。聞いているだけではなくて自分でもヘタなりに同じことをやってみるとよく分かってくる。

思春期に同じような経験は誰でもあると思う。一度経験すると例えば大人になってクルマにハマってもエンジン音を聞いただけで車種が分かるようになったりする。もっと"進む"とどこそこのマフラーに交換しているってことまで分かるようになるだろう。いわゆるオタクの世界への第一歩だ。この場合さらにその先にあるのは、エンジニアだ。ポルシェのとある有名なエンジニアはそのポルシェの音を聞いただけでどこが調子悪いのかということをピンポイントで当てたと言う。凄ェ!

今写真を撮るようになって"分かる"ようになったかと言われると正直よく然分からない自分である。お世辞でも自分の撮った写真を良いねぇと言われても本人は何が良いのかよく分かっていなかったりする。現像液を替えても、フィルムを替えても、レンズを替えても、う~んなんとなく違うかなといったレベルである。練習しないと弾けないギターと違ってカメラっていうのはシャッターきればとりあえず写真は撮れてしまうので、なまじ簡単に"撮れて"しまう分"分からない "ままという状態が続いてしまうような気がしている。今自分はラジオから流れたお気に入りの曲と同じように弾く真似をしているだけなのだろう。だから弾きなれた人からするとチューニングもあっていないしチョーキングの音も安定していない、聞くに堪えないかもしれない。
でももしかしたら同じフレーズを何度も繰り返し弾いているうちにチューニングが合って偶然一度だけ上手く弾けるときがあるかもしれない。そしてその時、なにかがきっかけになるかもしれないと思っている。

見ようとして見るから見える。「分かった」っていうのはそういうことだ。

「何が観察可能かを決めるのは理論である」とはアインシュタインの言葉だったと記憶している。言いかえると考えなしに観察したって発見はないってこと。見つけようとするから見つけられるわけで、人間の目とか頭ってそういう風にできているんだと思う。
昔、坂本龍一監修の「5分で誰でもピアノが弾ける云々」という番組をTVで見た。その中で面白い実験があった。渋谷のセンター街を被験者に歩いて貰う。同じように今度はカメラを廻しながらセンター街を歩く。カメラはセンター街の喧噪を全て拾って記録するから録画した画像をみるとたいそう煩く感じるが、人が歩いていたときにはそれほど感じていたわけではない。人は必要な音とそうでない音とを瞬時に判断して余分な音は自動的に遮っているという話であった。聴覚と同じように視覚も余計なものは見ないようなシステムになっている。だから見ようとしなけりゃ決して見えない。だけどレンズは見たくないモノまで全て写るものは見てしまう。写真を撮るという行為は人間の眼をカメラのレンズと化すことから始まるのだろう。まっ、多分写真を撮っている人はだれでも気づいていることなんだろうけど、やっとその辺のことが分かり始めた次第なのである。
[PR]
AX
<< スーパーモデル ページトップ 現像雑記 >>
The Original Skin by Sun&Moon